二級建築士試験の製図対策で、私がまずやってみたのは「付録の模範解答をトレースすること」でした。
与えられた条件を満たすようなプランを考えることを、「エスキス」と言います。

この「エスキス」も当然重要なスキルではあるんですけど、それよりもまずは作図する早さが前提になる。
私はそう考えていました。

もちろんどちらも重要ですから、結局は両方のスキルを磨くことになる訳ですけど、まずは製図能力から。

■時間がかかりすぎて…
とりあえずは参考書に付属してきた模範解答をトレースです。
ただし「トレース」とは言っても、紙を重ねて上からなぞっていく訳ではありません。

そうじゃなくて、完成見本を見ながら同じ図面を作図する、という感じですね。
もう敷地条件に適したプランは決まっている訳ですから、そのあたりのことは何も考えずにマネをするだけ。

単純といえば単純ですけど、普段はやらない「製図」という作業に少しでも慣れておかないと。
トレースをする目的はそこにあります。

あとは、今の段階で自分がどの程度出来るのかを掴んでおく、という目的もありました。

二級建築士試験の製図試験にかけられる時間は4時間30分で、その内の1時間は「エスキス」でかかる訳です。

そうすると、最大でも3時間30分で作図を完了させなければならない、ということになってきます。

見直しをする時間と余裕時間を20分程度と考えると、製図は3時間程度で終わらせるスピードが欲しいところ。

という前提がまずはあって、実際に私が最初に不慣れな平行定規を使いながら図面を完成させたのは…

12時間30分でした。

もう話にならないくらいに遅いですよね。
しかもできあがった図面がキタナイこと。

とても図面が完成したとは言えないくらいの図面でしたが、当時の私ではそれ以上の完成度にすることが出来ませんでした。

もちろん仕事を終えた夜にやってる訳ですから、みっちり3日の時間がかかりました。
そして残っている期間は1ヶ月と半分弱。

どう考えても絶望的な状況に、私はもうあきらめようとさえ思ってしまいました。

この作図スピードが、練習によって3倍以上になるのか…それを考えると、どうしても自信がなくなってきます。
でも、平行定規とかを買ったりしていて、今あきらめるのは時間的にもお金的にも非常にもったいない。

そんな気持ちだけで製図の勉強を続けることにしました。

少し不純な計算のもとでの勉強継続ではありましたけど、動機付けよりも「勉強を継続した」という事実の方が大事です。

もう少し早くに勉強を再開していれば良かった、という意見もあるとは思いますけど…
今は過去を悔やむよりも、前を向いて残りの期間を精一杯過ごすしかありませんよね。