さて、前回は製図試験の概要について少し書きましたが、どんな試験か何となく掴めたでしょうか。
限られた時間に条件を満たした図面を完成させる。
これはいざ自分で実際にやってみると、かなり厳しい戦いだと言うことが分かってきます。
そんな試験に対して、独学で挑む場合はどうすれば良いのでしょうか。
■手描きに何の意味があるか
製図試験は手描きの試験ですが…
建築関連に実務経験者であっても、自分の手で図面を作図したことがない方がほとんどではないでしょうか。
というか、CADが当たり前になった今ではほぼ全員が未経験ではないかと思います。
だって今の状況では、手描きで図面を作図出来るだけでは仕事がありませんから。
そんな訳で、手描きで平行定規を使って図面を作図するのは、きっと最初で最後の経験になるはずです。
そんな製図試験にどんな意味があるの?
そう思われるかも知れませんが、やはり建築士なら自分の手で図面は描けなければダメだと思います。
そういう意味では、全くの無駄ということは絶対にありません。ぜひともこの機会に、手で図面を描くことを覚えましょう。
CADを使ったことがある方なら、きっとCADの便利さを再確認することになるでしょうけど。
■まずは完成させることから
自宅で製図試験に挑戦する場合、まずやるべきなのは「線を引く」「文字を書く」などの動作に慣れることです。
製図試験でやるべきことは、大きく分けて以下の2つになります。
・与条件にあったプランを考える(エスキスと呼ばれます)
・実際に図面として仕上げる
エスキスはさておいて、まずは図面を作図することをここでは考えます。
手描き未経験の状態だと、正解の図面が隣にあってそれを見ながら丸写ししたとしても、きっと4時間30分では終わりません。
実際はエスキスに1時間くらいかけますから、作図出来る時間は3時間30分程度です。
まずはそれが実行できるくらい「作図する手の早さ」を身につける必要があります。
この「手の早さ」が身に付いていないと、時間内に図面を完成させることは絶対に出来ません。
製図試験では「未完成=不合格」となり、採点されるという土俵にのぼることすら出来ません。
まずは採点される為に、図面を完成させる訓練をする必要があるんです。
その為には何をすれば良いかというと、まあ単純なことですが何枚も何枚も完成図を写すことしかありません。
製図対策などの参考書には「完成図の例」などが載っていますから、まずはそれを何度も写すことから始めましょう。
最初は「こんなの絶対に間に合わないよ…」と思うくらいに時間がかかるはずです。
私が始めて完成図を写した時には、今まで少しは手描きの経験があったにもかかわらず、12時間30分かかりました。
作図が何とか終わったときには、さすがに絶望的な気持になったことをよく覚えています。
でも、まずは1歩目を踏み出さないと前に進むことは出来ません。
時間をかけてでも図面を完成させていき、それにかかった時間を毎回計っていく。これを繰り返していきましょう。