2級建築士の製図試験では、「図面を完成させることが出来るか」が重要になっている。
だからこそ「まずは作図の早さを磨きましょう」という話をしてきました。これは、独学で挑戦するのならばなおさらです。
今回は、そんな独学での製図勉強のつらいところについて書いておくことにします。
もし本当に製図を独学でやろうと思っているのなら、その前にぜひ読んでおいて頂ければと思います。
■どこまで進んでる?
当たり前すぎる話ではありますが、独学の場合には教えてくれる人がいない状態となります。
それが学科試験ならば、直接誰かに教わらなくても、参考書に書いてあることをそのまま覚えてしまえば済んでしまう部分があったりします。
でも、製図試験ではそれが出来ません。
やってみると分かりますが、製図を実際に練習していくと「ここはこんな感じに描いて良いのだろうか…」と思うところがたくさん出てきます。
それを誰かに確認することが出来ず、それを「多分これで大丈夫」と自分に言い聞かせながら進んでいくしかない。
この状況はなかなかツライものがあります。
そして、いくら練習を積んでも「その調子で進めればOK」とはだれも言ってくれません。
つまり自分が今どのレベルにいるのかが分からず、あとどれくらいで合格圏内なのかも分からないんです。
これが独学で製図を勉強する上で、最も不利な部分ではないかと思います。
現在位置が分からないまま、そしてゴールが見えないまま走り続けるのは、かなりの精神力を必要とするんです。
■合格するまで続く試行錯誤
それでも練習を積んでいくと、さすがに作図スピードは早くなってきて制限時間内に終わる手応えを感じてきます。
でも、やはり「こんな練習で良いのだろうか…」という不安から逃れることは、少なくとも私の場合はありませんでした。
もっと製図試験の為のコツというか、合格しやすいテクニックみたいなものを知りたい。
そんな思いが頭から離れることはありませんでした。
私の場合、2級建築士の製図試験を受験する前に、練習として30枚くらいの図面を完成させました。
最初は写すだけで12時間30分かかっていた作図時間は、条件に合ったプランを練って作図完了するまで4時間を切るようになりました。
大抵の場合エスキスに1時間程度かかりますから、実際の作図時間は3時間を切った訳です。
最初に比べれば驚くべき進歩を遂げたわけですが、それでも自分の中にある不安を拭い去ることは出来ません。
いくら30枚の図面を完成させたと言っても、それは本当に「描きっぱなしで次に進む」というやり方でしたから。
作図した図面に対し、「次回はこのあたりにもう少し気を配って作図したほうが良い」とか、そうした反省がなかったんです。
当然のことですが、そんなやり方では自分のスキルアップを実感することが難しいですよね。
でも独学での挑戦を決めた私には、疑問に思いながらもそのやり方を貫くことしか出来ませんでした。
ライバルの大半は資格スクールに通って製図の練習を積んでいて、1枚ずつ作図した図面のどこが悪かったかなどを教わっている。
その「ライバルとの差」すら分からず、最後まで手探り状態のまま図面を描き続ける。
これは精神的にかなりキツイです。
本番の製図試験では何とか完成図を提出することが出来ましたが、それが良かったかどうかも分かりません。
そして…
2級建築士製図試験の合格者一覧に私の番号があることを確認して、ようやく製図のスキルが合格水準まで達していたのだと知ることが出来ました。
もし独学で製図試験に挑戦したいと思っている方がいるのなら、途中でこうした厳しい状況に陥る可能性があることを知って頂きたい。
そんなことを思っています。